たけのこ(筍)のあく抜きといえば「米ぬか」が一般的。
米ぬかが無くても「米のとぎ汁」や「生の米」、「重曹」や「大根おろし」、「牛乳」でもあく抜きできますが、どれが一番おすすめなのでしょうか。
タケノコの美味しい季節。掘ってきたタケノコも、スーパーで買ってきたタケノコも、まずは新鮮なうちに茹でて処理することが大切。(良い状態のタケノコを掘ったその場で包丁でさばいて食べられるなら、あく抜きは不要な場合も)
美味しいたけのこの選び方
●ずっしり重たく、ずんぐりしている
●外皮の色が薄い
●穂先が黄色いもの(緑になっていないもの)
●根元のぶつぶつが赤く変色していないもの
●切り口が白いもの
日に当たる時間が短いたけのこは外皮の色が薄く、長期間日に当たったものほどアクが強く、皮の色も黒ずんでいます。緑の芽がでてしまっているものはすでに硬くなっています。
(とりたてを送ってくださる方の話では、細くて小さいたけのこが美味しいらしいのですが…一般的には大きくて重たいものを選ぶのが正解のようです。スーパーで売っているたけのこの場合は大きい方がいいのかもしれません。たくさん皮を剥いて中の柔らかい部分を食べることを考えると…)
タケノコにはやる気と元気の材料になるアミノ酸「チロシン」が含まれています。
たけのこを切ると、ひだの部分に白いぷつぷつしたものはチロシンですので、洗い流さず食べてください。チロシンは成長とともに筍の酵素によって灰汁(あく)の成分でもあるホモゲンチヂン酸に変化してしまいます。新鮮なうちに灰汁止め(茹でてあく抜きすること)してください。

定番おすすめ「米ぬか+鷹の爪」
たけのこのあく抜きと言えば「米ぬか+鷹の爪」ですよね。米ぬかの成分により効率よくあく抜きできて風味も良いため根強い人気のあく抜き方法です!
米ぬかであく抜きする理屈
●米ぬかに含まれる酵素がタケノコの繊維を柔らかくし、あくが溶け出しやすくなる。
●米ぬかに含まれるアミノ酸がうまみを引き出す。
●アクやえぐみの元である筍の「シュウ酸」が米ぬかのカルシウムと結合して不溶性のシュウ酸カルシウムになることでえぐみを感じにくくする。同じくアクやえぐみのもとである「ホモゲンチジン酸(チロシンが酸化してできる)」
●鷹の爪(赤唐辛子)を入れると殺菌効果もプラス&辛み成分がえぐみやヌカ臭さを隠す。昔からの知恵ですね。
まずは、たけのこの下処理
軽く全体を洗った後、皮を数枚むく。(私は包丁が通りやすい程度まで皮を取ります)
根元のぶつぶつをある程度切り落とす。
そして穂先を斜めに切り落とす。
中の使う部分の形にそって、縦に切れ目を入れる。
穂先の部分は深く切り、根元のほうは1cm程度。
切れ目を入れる理由は、火の通りを良くする事と、皮をむきやすくするため。
米ぬかで灰汁抜きする方法
タケノコがすっぽり入る大きな鍋を使います。
米ぬかはタケノコ1つに付きひとつかみ。今回は3つなので約1カップ程度。
鍋に、タケノコと、ひたひたの水、米ぬか、鷹の爪を入れて、落し蓋をします(筍が浮いてこないように)
中~強火にかけて沸騰させたら、弱火~中火で約1時間茹でます。
ゆで時間は、タケノコの大きさによって違います。
小さいものだと、1時間いらない場合もありますが、大きいと2時間以上かかることも。竹串で根元を指して、すっと通るかどうかを目安に時間を調節してください。
途中、吹きこぼれやすいので火加減注意しつつ、水が足りなくなったら足す。(温度が下がらないように少しづつ)
画像では赤唐辛子が多めに入っていますが、タケノコ3個程度なら、鷹の爪は1から3個程度。辛くなってしまうことがあるのでお好みで。
竹串が根元にすっと通れば茹で上がり。
火を止めて一晩(8時間目安)そのまま放置する。
ゆで汁につけっぱなし(8時間)にする理由は、しっかり灰汁を抜きつつ、煮汁に溶けだしたうまみを残すため。
あく抜き後の処理・保存
冷めている事を確認してから、(ヤケドに注意して)タケノコの皮をむき、軽く水洗い。
基本的には穂先、中央、根本に切り分け、部位にあった方法でお好みで調理してください。
穂先:お刺身など
中央:天ぷら、たけのこご飯など
根元:煮物、メンマなど
あく抜き後のタケノコは、かぶるくらいの水道水にひたし、毎日水を変えながら冷蔵庫で約1週間保存可能とされています。ただし、冷蔵庫内の温度変化など、環境によっても保存状態は変わってきますから、冷蔵の場合は早めに使い切ってください。
冷凍する場合:スライスしてジップロックなどの保存袋に平らに並べて空気を抜いて冷凍庫へ。(塩漬け、砂糖漬けで保存する人もいますね)
「米のとぎ汁・生米」で灰汁抜きする方法
米ぬかが無い時は、米のとぎ汁で茹でたり、水に生の米を入れて茹でてもOK。
【とぎ汁】茹でる湯を米のとぎ汁に置き換えるだけ。濃度の濃いとぎ汁が一番です。濃さが足りないなら、生の米をタケノコ1つにつき大さじ1程度足しても良いようです。1時間ほど茹でたら火を止めて一晩放置。
【生米】生米のでんぷんがシュウ酸を吸着するらしいです。あく抜きする場合は、生の米を水に入れるだけ。人によって量はまちまちですが、2リットルなら片手ひとすくい分程度の生米で良いと思います。小さいお茶碗の半分程度?
米ぬかの時と同じく、基本のゆで時間は1時間程度。その後一晩冷まします。
(とぎ汁と生米両方を使う人も。そこにヌカや赤唐辛子を入れる人も。結構みなさん自由にあく抜きされているんですね)
「重曹」であく抜き
重曹は吹きこぼれにくく、重曹の成分である炭酸水素ナトリウムのアルカリ性で筍をやわらかくするそうです。シュウ酸とホモゲチジン酸がアルカリ性に溶けやすいという話も。とにかく水溶性のあくが溶け出してくれるとやわらかくなりやすいです。
重曹であく抜きする場合は、水1Lにつき食用重曹小さじ2分の1~1程度を沸騰させてから皮を剥いて半分に切ったタケノコを入れて30分程度茹でます。重曹の場合、茹で過ぎるとえぐみが出てしまうのだそう。
重曹で灰汁抜きする時はアルミの鍋は避けてください。重曹の炭酸水素ナトリウムがアルミと反応して鍋が黒く変色するそう。アルミ以外の鍋でも重曹を入れ過ぎるとタケノコが黒くなってしまうことがあります。
↓アルミニウムの入っていないベーキングパウダー。これを使ったからと言って、灰汁抜きの際にタケノコやゆで汁が黒くならないというわけではないようですが健康と安全のために使っています。

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以前アルミニウムがアルツハイマーの原因かもしれないという話が広まりましたが、現在は体外に排出されるという話になっているそう。でも不要なものを排出する際に少なからず体に負担がかかるし、本当にすべて排出されているのかも疑問。という事で管理人の場合はアルミニウムの入っていないベーキングパウダーを使うようにしています。最近ではアルミニウム不使用のパンケーキミックスなんかも売っていますね。
「牛乳」であく抜き
牛乳であく抜きする人がいますが、タケノコのシュウ酸と牛乳のカルシウムが結合してあく抜きできるようです。もともと牛乳は、たんぱく質や脂質がコロイド状に存在していて(液体の中の粒子が分散した状態)、その粒子の表面積が大きく、沢山の物質を吸着できることから、臭み消しにも用いられますから、タケノコのあく抜きに使う人がいるのもうなずけます。
牛乳を水で割ったもの(カルピスの希釈程度のイメージ)で入れて1時間~2時間落し蓋をして茹でるだけ。ヌカや赤唐辛子も一緒に入れる人が多いですね。
大根おろし(採れたての新鮮なタケノコにおすすめ)
生のタケノコを大根おろしの汁につけてあく抜きする方法です。
生のままあく抜きするので、とれたて直後の新鮮なタケノコにおすすめの方法です。
生のままスライスしたタケノコを、大根おろしの汁1カップ+水1カップ+塩小さじ1程度に1時間以上浸し、最後に火が通るまで茹でるだけ。
大根のアルカリ成分が、えぐみを取り除いてくれるそうです。通常は、たけのこの酵素の働きを阻害する(灰汁止め)のですが、大根の場合は、えぐみをとってくれるというのです。すごいですね。しかも簡単。
ん?という事は、たけのこの皮をむいてしまってからあく抜きなので、筍の風味は落ちるかもしれません。
それでも、重曹のように黒くならないし、ヌカのように吹きこぼれない。大根おろし、すごいですね。
最後に
たけのこの茹で方・あく抜きの方法をいくつか紹介しました。
一番おすすめなのは定番の米ぬかですが、同じ米ぬかを使ったあく抜きでも、家庭によって若干の違いがあり、みなさん試行錯誤されて自分の方法を見つけている様子。
タケノコは、水溶性食物繊維、アミノ酸が豊富です。アミノ酸のチロシンは、代謝にかかわる甲状腺ホルモン等の栄養になり、ドーパミンのもとにもなることから元気ややる気を出したい時にぴったり。5月病予防にタケノコという話にも納得です。この季節の野菜であるソラマメやアスパラにもチロシンが多く含まれています。やっぱり季節の食材には意味があるのですね。
ただし、チロシンはフェニルアラニンをとることで体内で合成できるので、不足することの少ない栄養素なのだとか。チロシン自体、大豆や乳製品、ナッツなどに多く含まれます。フェニルアラニンも、肉・魚・大豆・乳製品・かぼちゃ・ジャガイモなどに含まれますね。
これら多くの栄養素はビタミンCで吸収率がUP。そして腸内で栄養を吸収するためには胃酸の働きが必要で、胃酸が足りていない人は胃酸を補うべく、お酢やレモン、梅なども一緒に取りたいところ。
結局はバランスの取れた食事が大事。
季節の食材を取り入れつつ、健康的な生活を心がけたいですね。